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『ARKの女帝』

『ARKの女帝』プロローグ:嵐の後の目覚め

意識が浮上する。全身を襲うのは、あの慣れ親しんだ「締め切り前の徹夜明け」のような鈍い重さと、ひどい渇き。「……最悪な寝覚めね」あなたが目を開けると、そこは横浜の寝室ではなかった。見慣れた天井のシミも、スマホの充電ランプもない。あるのは、色あ...
『ARKの女帝』

【ARKの女帝】Chapter 1:泥沼からの国勢調査(アセット・マネジメント)

【プロローグからの続き】鏡の中の自分との対話を終え、私はふと、部屋の空気の淀みに気づく。 埃っぽいカーテン、くすんだ床、そして何より……私の腹の虫が鳴いている現実。「まずは腹ごしらえね。戦(いくさ)をするにもエネルギーがいるわ」そう思った矢...
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Chapter 8:西からの呼び声(The Call from the West)

勝利の美酒は、思いのほか苦かった。「……ハルヒ様、これですべてです」 アルカディア屋敷の執務室。  専属メイドのリナが、山積みの木箱を恐る恐る開けていく。中には乾燥した薬草や、小瓶に入った香油が詰め込まれている。  これらは昨日、私たちがね...
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Chapter 9:嘆きの聖地 (The Weeping Holy Land)

【Code: Spatial Acupuncture (空間鍼灸)】馬車が、ドスンと重い音を立てて泥濘(ぬかるみ)に沈み込んだ。  到着を告げる御者の声はない。ただ、逃げるように馬を切り離し、走り去る蹄の音だけが遠ざかっていく。「……ちょ、...
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Chapter 11:大地の神闕(しんけつ)と五芒星の結界

塔の重厚な扉を蹴り開けると、熱帯夜のような、むせ返るほどの生温かい風が吹き付けてきた。「うっ……! 何、これ……血の匂い……?」 リナが鼻を押さえて顔をしかめる。 無理もない。塔の内部は、まるで巨大な生物の胎内のようだった。吹き抜けになった...